井波未知子・鳩音薔薇夫: Layers
Past exhibition
Kanda & Oliveira では、井波未知子と鳩音薔薇夫による二人展「Layers」を開催いたします。
井波未知子と鳩音薔薇夫は、ともにまだ他の人が発見していないものの見方を追求し、その形態もしくは手法においてシュルレアリスムを彷彿とさせるスタイルをもっています。
森に暮らす画家、鳩音薔薇夫は、劇場や舞台を思わせる構図で不完全な形の人間を描きます。鳩音の作品では、自然が賛美され、植物や昆虫とともに人の形が組み立てられ、薄く色が塗り重ねられています。鳩音にとって人の顔は印象が強すぎるため、描くときはいつも身近な記憶からたぐりよせています。にもかかわらず、描かれているひとの視線は見ているひとの視線と交わることがなく、優しく控えめにさえ感じます。
そして、井波未知子の作品では、見るものは黒、白、グレーの抽象的な形の深みに没入します。線を描いては消し、時には引っ掻いたり隠したりを繰り返すことで井波は形をつくっていきます。目に見えない存在である自然の力をもっと活かしたいという思いから、20年ほど前に始めた平面の作品では、雨粒を用いて描くことからはじめました。モノトーンの中に色彩感と、平面の中に立体感が表出してみえるのは、井波が織物や金属板を用いた立体作品から制作活動をはじめたことが影響していると考えられます。
井波未知子と鳩音薔薇夫が積み重ねている制作活動は、私たちが知っている世界や、まだ発見されていない未来、そしておそらくはその中間にある潜在意識のような世界と繋がっているだけでなく、普遍的な価値である自由の追求にも繋がっているのです。
1948年東京都生まれ、東京都在住。長年大阪府に居住していた。
井波は、紙の上に黒、白、グレーのみで表された抽象的な造形で見るものを没入させる作品を生み出している。
足元の道路標識のかすれや梱包材を広げた形など、日常生活の中で何気なく目にする造形に触発され制作をしている。線を描いては消し描いては消し、ときには引っ掻いたり塗りつぶしたりを繰り返すことで自身の身体性を画面に投影している。目に見えない存在である自然の力をもっと活かしたいという思いから、雨粒を用いて線を形作ることもある。モノトーンの中に色彩感と、平面の中に立体感が表出してみえるのは、井波が織物や金属板を用いた立体作品から制作活動をはじめたことが影響している。
井波未知子は日本、韓国、イタリアで展覧会を開催。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科卒業。
東京都生まれ、岡山県在住。
鳩音は人里離れた山中で畑を耕しながら、舞台上の人物のようなポートレートや、昆虫や植物、雲などから形づくられる人知を超えた存在を、シュールレアリスムの様式や細密画の手法で描いている。
鳩音はギリシャ神話の黄金時代(人間が神々と共に住み、世の中は調和と平和に満ち溢れ、争いも犯罪もなかった時代)を理想としている。日々山中で接する昆虫や植物が、まるで人間のような形をつくってポーズをとっていたり踊っていたり、劇場や舞台に登場する人物を思わせる構図など、作品に演劇的要素が多いのは、鳩音がバレエダンサー・振付家のニジンスキーの影響を受けたという理由も大きい。鳩音の描く対象はときに性別を超えるばかりか生物の境目も超えており、神々と人間が共に暮らす時代の物語を鳩音は日々絵画に紡いでいる。
2024年の展覧会が、鳩音にとってはじめて作品を発表する機会となった。
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