福田尚代

1967年埼玉県生まれ、埼玉県在住。1994年から2000年までアメリカのワシントン州に居住。

 

本や文房具、郵便物やハンカチなど身の回りにある私物を、彫刻やコラージュ、オブジェといった別の姿に変容させた作品を生み出している。

 

当初から作品をつくる目的からではなく、ごく私的な静かな衝動が発端となって、削る、切り抜く、折る、脱色する、刺繍するなどの行為を、偶然や無意識を介在させながら精緻に繰り返しほどこしている。次第に元の意味や機能が失われ存在が消えかけるなか、甦るかのように作品へと姿を変えて私たちの前に現れてくる。代表作に、消しゴムを彫刻した《漂着物》や書物を1ページずつ折りこんでつくられた《翼あるもの》シリーズがある。

 

また福田は詩人でもある。始まりから読んでも終わりから読んでも同音となる回文を紡ぎ続けており、そのスタイルは唯一無二であり、これまでに多くの回文詩集を発表している。福田は、「美術とは物質を根幹まで突き詰めることであり、物質の極みとは言葉の粒子」であるという。福田にとって美術と回文は根底において分かちがたく結びついている。

 

東京藝術大学美術学部油画科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。

小出由紀子事務所所属。