東京都生まれ、岡山県在住。
鳩音は人里離れた山中で畑を耕しながら、舞台上の人物のようなポートレートや、昆虫や植物、雲などから形づくられる人知を超えた存在を、シュールレアリスムの様式や細密画の手法で描いている。
鳩音はギリシャ神話の黄金時代(人間が神々と共に住み、世の中は調和と平和に満ち溢れ、争いも犯罪もなかった時代)を理想としている。日々山中で接する昆虫や植物が、まるで人間のような形をつくってポーズをとっていたり踊っていたり、劇場や舞台に登場する人物を思わせる構図など、作品に演劇的要素が多いのは、鳩音がバレエダンサー・振付家のニジンスキーの影響を受けたという理由も大きい。鳩音の描く対象はときに性別を超えるばかりか生物の境目も超えており、神々と人間が共に暮らす時代の物語を鳩音は日々絵画に紡いでいる。
2024年の展覧会が、鳩音にとってはじめて作品を発表する機会となった。