上田勇児

1975年、滋賀県生まれ。滋賀県在住。

 

上田は、伝統的な器の系譜を引き継ぎながらも素材が持つ可能性を限界まで引き出すことで、独自のスタイルを築いた陶芸家である。

 

表面が捲れ上がったり剥げ落ちたり、形そのものがまるで崩れ落ちていたり溶け落ちているかのような作品は、器としての実用性が削ぎ落とされ「オブジェ」としての存在感を強く放つ。

原料の伸縮率の違いや焼成方法の違いなど化学実験のように定量的に追及する方法と、薪窯の炎という自然の力による偶然性に委ねる方法との両者の間を行き来しながら、経験則からだけではコントロールできない部分を素材から引き出している。

 

上田勇児は「朝宮茶」を栽培する老舗の茶農園に生まれ、陶芸家の神山易久に師事したのち、日本六古窯のひとつである信楽の地において自作の薪窯で作陶を続けている。BLUMに所属。